時事通信配信記事 2007年8月9日付

●「大学全入時代」到来せず=学校基本調査


今春の大学・短大の志願者数に対する入学者の割合は90.5%で、注目されていた「大学全入時代」が到来しなかったことが9日、文部科学省の学校基本調査で分かった。

志願者が予測を大きく上回ったほか、有名私大など高倍率の大学と不人気校の間で入学者がばらついたのも原因とみられる。大学の数が過去最高に上ったのと裏腹の結果となった格好だ。

同省は、少子化による18歳人口の減少などを基に、今春の志願者と入学者をいずれも67万4000人と試算。今年以降、両者が同数で推移すると予測していた。しかし、実際は志願者77万2000人に対し、入学者は69万8000人にとどまった。

規制緩和などで大学数は過去最高の756校となり、定員も前年度より増えた。しかし、私立を中心に都市部の人気大学に出願が集中する反面、定員を5割以上割り込んだ大学もあり、こうした「格差」も影響したとみられる。

同省は、志願者増の理由について「景気回復で家計に余裕ができ、高卒より大卒で就職を志向する人が増えたのではないか」と分析。志願者数などは変動するため、推計は修正しないという。

一部の私立高校で、1人の受験生が多数の大学、学部を受験し合格実績を水増ししたことが問題化しているが、同省は「志願者は実数でカウントしており、水増しは無関係」としている。