時事通信配信記事 2007年8月3日付

●地方大学の共同事業を支援=文科省


文部科学省は2008年度、地方の国公私立大学が共同して行う地域振興などの取り組みへの支援に乗り出す方針を固めた。各大学の特徴や強みを生かして連携し、地域に必要な人材育成を担う「教育拠点」づくりといった取り組みを対象とする予定。少子化による学生数減に悩む地方の大学が、連携によるメリットを生かせるよう、教員や講座の共有化などを通じた効率化も目指す。

共同事業に必要な経費や施設整備費の一部を国が補助することなどを検討しており、同年度予算概算要求に関係経費を盛り込む。

地方、都市部のいずれでも、少子高齢化により若者の数が減少している。国立大学も04年度から法人化され、国公私立を問わず、大学の生き残り競争が激化している。また、国の歳出改革の一環で、私立大学への私学助成、国立大学への運営費補助金ともに削減方向で経営も苦しい。

地方の場合、都市部と比べて少子高齢化の度合いが高く、大学にとって学生数の確保がさらに切実な問題になっている。しかし、それにより地方大学が減ると、地方から若者がさらに減る結果にもつながり、各地域での教育拠点の確保がままならなくなる。

こうした状況を踏まえ、同省は、大学が核となり、地域貢献、地域振興を行うシステムの構築を目指す。地域の国公私立大学が連携し、人材育成などを行う事業を支援する方向で、今後、連携事業の内容や支援方法を具体的に詰める。

大学の共同事業では、京都で約50の国公私立大学と市・経済団体などで構成される「大学コンソーシアム京都」が設立され、大学相互の結び付きを深め、地域社会に貢献する先駆的な取り組みが始まっている。同省は、こうした例を全国的に広めていきたい考え。さらに、地域で大学の連携を深めることで、大学共同での大学院設置といった発展的な動きにつながることも期待している。