『朝日新聞』2007年7月25日付

「スパコン、無料で貸します」東大など8大学、民間に


東京大、京都大、東京工業大など全国8大学は24日、大学内にあるスーパーコンピューターを民間企業などに無料開放する事業を始めると発表した。これまでは学術目的のみに限定してきたが、企業などの研究開発にも役立ててもらう。文部科学省の「先端研究施設共用イノベーション創出事業」の一環で、5年間続ける。

北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州の7大学は合計で99テラフロップス(テラフロップスは1秒間に1兆回の浮動小数点演算ができる能力)あるスパコン計算能力のうち約12%を、東工大はアジア最高とされる85テラフロップスの能力を持つスパコン「TSUBAME」の約13%を提供する。

無料開放はスパコンの新たな利用方法の開拓を促し、将来の有料化に向け顧客を育てる意味もある。創薬のためのたんぱく質解析や航空機開発のための力学計算などへの応用が期待されている。

米澤明憲・東京大情報基盤センター長は「民間企業にスパコンに触れる機会を提供することで新しい需要が生まれ、国全体の経済の発展にも貢献できる」という。