『琉球新報』2007年7月24日付

産学官で金融人材養成 研究者らがNPO


名護市が指定されている国内唯一の税制優遇地域、金融特区の活性化にかかわる研究者らが、専門人材の育成事業を担うNPO法人「沖縄知の風」を発足させた。県内5大学も参画し、産学官連携で金融人材を育成するほか、観光や情報通信、自然科学関連など、金融を核とした新たな産業集積を目指して幅広い分野での人材養成を図る。

「沖縄知の風」は6月中旬に設立総会を開催し、県にNPO法人認可を申請した。認可を待って近く正式に活動を開始する。

理事長には島袋鉄男琉球大名誉教授が就任。県の金融特区研究会座長を務める小西龍治九州大大学院教授が副理事長に就き、県内5大学の学長らが理事を務める。法政大前総長の清成忠男沖縄協会会長、大竹美喜アメリカンファミリー生命保険最高顧問らが名誉理事として名を連ねる。

島袋氏は23日に県庁内で記者会見し、「県外研究者の尽力で金融人材育成事業が行われているが、活動の中心となる組織が地元に必要だ」と説明。将来的には文化や健康、レジャーなど「ホスピタリティー産業」分野の人材を幅広く育てたいと抱負を語った。

当面は金融実務家らを対象とした「金融人材育成講座」などの運営が活動の主体となる。講座は昨年11月に琉球大が事業主体となり開講され、今年も内閣府の補助を受けて10月から5カ月間の予定で開かれるが、「将来的には補助事業でなく自前で行いたい」(島袋氏)としている。

組織は当初、有限責任事業組合(LLP)が検討されたが、多くの参加を募る目的などからNPO法人とした。県や名護市、沖縄振興開発金融公庫が活動を支援し、協力して事業展開する。

27日午後3時からは設立を記念したシンポジウムを県庁で開く。