『中日新聞』2007年7月14日付

「人員余裕なく…」 教職大学院 金大開設見送り
北陸の教員養成 影響も


金沢大(金沢市)は教育の指導的管理者らを育てる教職大学院の開設を見送る方針を固めた。二〇〇八年四月の学部再編に伴い、教員配置やカリキュラム編成が難しいためで、大学は「既存の制度で教員養成は十分できる」としている。福井大は設置認可を申請しており、北陸地方の教員養成に微妙な影響を与えそうだ。(報道部・高橋雅人)

教職大学院は標準二年間の専門職大学院。即戦力となる新人教員の養成や現職教員の指導力向上を目指す。

金大は〇八年度に現行の八学部を三学域に改組するとともに、教員としての基礎教育と実践力を高める「なるためノート」の導入など教員養成改革もスタートさせる。教職大学院設置では、〇五年度に学内に専門チームをつくって、具体的な検討をしてきた。

しかし、教職大学院の設置基準では、(1)専任教員のうち四割以上を経験豊かな実務家教員とする(2)必修四十五単位以上のうち十単位以上を学校での実習に充てる、などが定められており「現在の人員では余裕がない」などの理由で見送ることを決めた。学部再編で現在の教育学部教員八十一人のうち、十八人が新設される国際学類などに回ることが背景にある。

現職教員が金大の教授からゼミ形式で専門知識を習得する「教授制度」などで大学と連携している石川県教委は「金沢大が教職大学院設置を見送ったことは知らなかった。教員の研修などは県教委でもしっかりやっている。(県内に)教職大学院ができなくても、当面は不都合はない」としている。

大学院は、教員免許更新制とともに中央教育審議会が昨夏の答申で設置を提言。福井大など国立、私立計二十一大学が〇八年四月の設置認可を申請している。文部科学省が大学設置・学校法人審議会に諮問、答申を受けて今秋にも認可する。