『日本経済新聞』2007年7月11日付

柏市と東大、認知症予防の「ほのぼの研究所」始動


千葉県柏市と東京大学は、認知症を予防、回復する新技術の研究プロジェクトを始動させた。公募した市民が研究に参加する。島津製作所などの企業が機器を提供しながら科学的に脳の働きを計測評価する。住民と産学官が連携し、地域社会全体を「研究所」に見立てて認知症対策に取り組む。将来は認知症の予防ノウハウを制度化し、新たなサービスや制度の創出を狙う。

プロジェクト名は「ほのぼの研究所」。柏市が06年11月に近隣の10大学と始めた「大学コンソーシアム柏」プロジェクトの1つだ。東京大学人工物工学研究センターの大武美保子准教授が認知症予防策として考案した「ふれあい共想法」の実践が柱となる。参加者がお互いに写真を持ち寄り、意見を出し合うことで脳の働きを活発にする手法だ。

1―2月と5―6月に地元の高齢者が参加したテストでも、脳の活動が活性化することが確認された。「互いの考えを表現することで地域での新たなコミュニティーの創造も期待できる」(大武准教授)という。