時事通信配信記事 2007年7月11日付

●教員免許更新講習の事後評価を導入へ=文科省

文部科学省は、2009年度開始予定の教員免許更新制に関連し、大学などが開設する更新講習について、受講した教員らが大学の対応や講習内容を評価する仕組みを導入する方針を固めた。結果の公表も検討しており、大学同士が「切磋琢磨(さっせたくま)」することで講習内容の充実、質の確保を狙う。

免許更新制導入により、教員には、10年ごとに30時間程度の更新講習を受けることが義務付けられる。内容は、(1)教員としての使命感や責任感(2)社会性や対人関係能力(3)児童・生徒理解や学級経営(4)教科内容―に関する事項を含む5教科程度となる見通しで、中央教育審議会(文科相の諮問機関)で詳細を詰める。

改正教育職員免許法は、「講習の開設者は、大学及び文部科学省令で定める者」と規定しており、主に大学が想定される。大学は、開設する講習について文科相の認定を受けなければならないが、更新に必要な全科目を開設する必要は無く、一部科目だけとすることも可能だ。

講習内容、修了の認定基準などは、国が定めることになるが、実際の運用は講習開設者に任される形だ。同省は質の担保のため、事後評価が必要と判断。さらに、教員らへの事前アンケートなどを行い、受講者の課題意識やニーズを把握することも開設者側に義務付けることにしている。アンケートの結果を反映させ、講習内容の充実を図る仕組みだ。

更新制が導入されれば、全国で毎年およそ10万人の現役教員が講習を受講することになる。同省は、講習開設者の間に競争原理を働かせ、教員のメリットにつなげたい考え。しかし一方で、大学の数が非常に少ない地域などもあり、必要な開設者を確保できるか懸念する教育委員会もある。このため、インターネットや通信講座に加え、放送大学の活用なども検討していく方針だ。