『朝日新聞』山形版2007年7月10日付

山形大学長選きょう公示
 「得票数」が非公開に

 4人が立候補見通し

 山形大学の学長選挙が10日、公示される。辞職したばかりの前文部
科学事務次官ら学内外から4人が立候補する見通しだ。教職員の投票で
上位得票者を絞り、学長選考会議が選ぶが、今回から候補者の「得票
数」を非公開とした。不透明な選考方法に学内から批判の声が上がって
いる。

 方法に学内から批判も

 2期6年務めた仙道富士郎学長の任期満了に伴うもの。1学部2人ま
で推薦できる決まりで、医、理、人文、地域教育文化の4学部が推薦す
る村山市出身で6日に文科省を辞職した結城章夫・前事務次官のほか、
理、人文、地教の3学部が推薦する加藤静吾・元理学部長、工学部推薦
の小山清人・工学部長、農学部推薦の中島勇喜・農学部長の4人が立候
補する見通し。

 次期学長を巡っては、医学部が早い時期から結城氏に絞って運動を展
開した。これに対し、「大学は省庁の天下り先ではない」「大学自治の
点で問題だ」などの批判が他学部から出た。

 関係者によると、これに対し、4月の選考会議で、「得票数に左右さ
れるべきではない」という結城氏を推す委員の意見をいれて、候補者の
名前だけ公表して、得票数は非公開とする規則改正が決まったという。

 ところが、今度はこの決定に反発が出た。医学部を除く5学部の教授
会が規則改正の取り消しを求めて意見書を出し、6月11日の選考会議
で再度諮られたが覆らなかった。

 新潟大や滋賀医科大で投票で2位だった現職学長が、選考会議で「逆
転」した例もある。ただ、両大学とも得票数は公開した。

 ある教授は「選考会議が得票2位の候補者を学長に選んでも、堂々と
説明すれば責任を果たせる。得票数を公表しないのは、おかしい」と批
判する。前回は、上位3人の名前と得票数を公表したうえで、選考会議
が得票数1位の仙道氏を選んだ。

 25日の「学内意向聴取」と呼ばれる教職員による投票で上位3人に
絞り、26日の選考会議で最終決定するが、約900人の「有権者」の
うち医学部と付属病院が3分の1を占める。医学部を含む4学部が推薦
する結城氏が優勢とみられる。

 だが、他学部では、「投票で結城氏が1位を獲得できなかった場合、
(新学長として)傷がつくことをおそれて、得票数を公表しないのでは
ないか」との声が上がっている。

 学長選を実施する須田利明・同大総務ユニット長は「前回学長選のと
きから規則改正は議論になっていた。新学長を傷つけないために改正し
たというのはうがった見方だ」と話す。