『読売新聞』2007年7月3日付

LEC大10校 募集停止


構造改革特区制度を利用して株式会社が初めて設立した「LEC東京リーガルマインド大学」(反町勝夫学長)が、全国14校のうち、2008年度から札幌、宇都宮、千葉、静岡、岡山、北九州など10校の学生募集を停止し、首都圏と大阪の4校に縮小する意向を各市に提示していることが3日、わかった。

これを受け、札幌市は特区計画を廃止する。同大は今年1月、文部科学省から不適切な大学運営について改善勧告を受けていた。規制緩和による経済活性化を目指す特区制度に対する同大や自治体の甘い見通しを露呈することになった。

同大は、全国で司法試験予備校などを経営する「東京リーガルマインド」(東京都千代田区)が2004年4月、構造改革特区を利用して千代田区と大阪市で開校。その後、全国にキャンパスを展開した。

しかし、同大は今年1月、文科省から「大学と予備校が事実上、同一化しており、大学の目的に照らして疑義がある」などと改善を求められ、「当初想定していた大学の運営方法の大幅な変更が必要であり、すべてのキャンパスを維持するのは困難」として、縮小などを自治体と協議してきた。

札幌市には、5月に札幌校の学生募集停止の相談があり、「全国14校のうち、首都圏の一部と大阪の4校に資源を集中する」との方針が伝えられた。同大は神戸、広島、福岡などにも展開中だが、これらも募集停止の対象とみられる。

札幌市は、特区計画の目標として、〈1〉株式会社の学校設置による高度なキャリア教育〈2〉高い専門性を持った人材の育成による地域の活性化――を挙げていたが、頓挫する。札幌校には現在、36人が在学中で、市は在校生が卒業した段階で、特区計画を廃止する。

LEC大は、募集停止について「自治体と協議中で、まだ決定していない」としている。