『毎日新聞』高知版2007年6月27日付

県立高知女子大:09年、春池キャンパスに集約 県の整備計画決まる


◇学部新設、大学側と合意出来ず−−県議会で「拙速」批判も

県が進める県立大学改革の一環で、県立高知女子大(高知市永国寺町)池キャンパス(同市池)の整備計画が決まり、永国寺と二つに分かれているキャンパスを池に統合することになった。県は09年4月の新キャンパス移行に向け、現在会期中の6月議会に造成工事費を提案しているが、県が目指す社会科学系学部新設を巡り、大学側と合意に至っておらず、拙速な統合案に異論も出ている。【服部陽】

女子大は現在、永国寺キャンパスに文化学部と生活科学部、池キャンパスに看護学部と社会福祉学部がある。今回まとまった計画では、看護学部と社会福祉学部が入るA棟(2階、延べ床1944平方メートル)▽現行の生活科学部を再編して新設する健康栄養学部や学生会館などのB棟(5階、同9066平方メートル)▽文化学部や図書館などのC棟(5階、同8058平方メートル)−−を池キャンパスに整備して集約。今年11月ごろから造成、来年3月には建築工事を始める予定。

社会科学系学部の新設は、現行の4学部6学科から4学部4学科へ女子大の再編計画が発表された昨年9月、社会科学科がある高知短大廃止の代わりに、社会人も学べる学部を残そうと浮上。県は当初、JR高知駅前複合施設に設置しようとしたが、施設の構想自体が白紙に。現在、設置場所を検討中だが、県は社会人も通いやすい市中心部の永国寺にサテライトキャンパスとして残したい意向という。

同整備計画については、26日の県議会企画建設委員会で議論された。県側は新キャンパス移行の事業費を約100億円と示したが、同学部設置で大学側と合意をみていない点で、委員から「事業の全体像が決まっていない中で見切り発車する必要があるのか」との異論が出た。約100億円との事業費についても委員から「厳しい財政状況下で県民の理解が得られるのか」との疑問の声も出た。

県の試算では、大学運営費は、再編・統合のみなら約1億5000万円の黒字だが、同学部を設置した場合、約4億5000万円に黒字幅が拡大するという。

県政策企画部は「事業費は基金などで担保できると考えている。少子高齢社会を支える人材を県内に確保するにも大学改革は重要な政策で、県民の理解を得て着実に計画を進めていきたい」と話している。