『京都新聞』2007年6月25日付

小中高・現職教員の実践力を強化へ
滋賀大教育学部


滋賀大教育学部は本年度から、学校に理不尽な要求をする保護者や外国籍児童への支援など、近年噴出する教育課題に、即応できる教員の養成に乗り出す。滋賀県教委から同大大学院に派遣されている小中高の現職教員らを対象に、8、9月ごろに1週間程度の集中講座を実施し、学校での指導的立場に立てる人材育成を目指す。

理論的な教育研究だけでなく、社会に寄り添った教育機関としての機能を高めようと同大教育学部が計画した。現場での即応性を重視し、主に10年ほどの経験を持つ教員で本年度滋賀大大学院に入学した16人を対象に初の実践力強化講座を実施する。

内容は、不登校やいじめ問題に対処する「生徒指導力」や、学校への不適当なクレームを繰り返す親らへの対応力を付ける「保護者・地域対応力」、県内で増加する日本語が母語でない子供への理解を深める「外国籍児童、生徒への教育支援」などで、5講座を設ける。

講師には他大学教員のほかに校長ら現場管理職などを充て、少人数制を基本に事例研究やシミュレーションを行う。教員を目指す一般学生にも門戸を開き、現在の教育状況に理解を深めてもらう。一部講義は市民向けに一般公開もする。

来年度以降は本年度の成果を評価した上で内容を検討する。

秋山元秀・滋賀大教育学部長は「さまざま課題に対応しようと教育現場は忙しく、そのために人間関係も希薄になり、学校の人材育成力は衰えつつある。教員養成の中核としての役割を大学も担っていきたい」と話している。