『山陰中央新報』2007年6月22日付

教育改革3法成立で両県教組が反発


教員免許更新制の導入などを盛り込んだ政府の教育改革関連三法が成立したのを受け、島根、鳥取両県の教職員組合は二十一日、「強権的」「具体的な中身がない」などと反発。両県教育委員会などは、教育現場の実態に合わせた制度設計、運用を求めた。

鳥取県教組の前田厚彦委員長は「三法は具体的な中身は何も決まっておらず、枠組みだけ」と指摘。「安倍政権の実績づくりに教育が使われるのは許せない」と語気を強めた。島根県教組は同日までに「強権的で教職員や学校、子どもを息苦しくさせ、問題解決を困難にさせる」との抗議声明を出し、政府、各政党に送付した。

一方、島根県の藤原義光教育長は、明確な制度設計がない現段階で三法の評価はできないとした上で、「教育は、上から強権的に管理統制してよくなるものではない。現場を信頼し、教育しやすい環境をつくることが大事」と県の方針を説明。また、教員免許更新制の導入に当たっては、教員講習の費用負担など、国の支援が不可欠と指摘した。

鳥取県教委の福井伸一郎次長は、県として独自に五年目や五十歳前後を対象に行っている教員研修や、市町村教委、学校単位で取り組む研修を踏まえ「免許更新講習との整合性を取る必要がある」と課題を指摘。必置規定ではない副校長や主幹教諭などの新たな職については「学校規模などを勘案して検討する」と話した。

独自の教育委員会改革に取り組み、昨年度から住民や保護者代表らが学校運営に参画する「地域学校運営理事会」制度を取り入れる出雲市教委。黒目俊策教育長は、学校教育法で学校経営に対する外部評価が初めて義務づけられたことを「重く受け止めている。学校や理事会とともによりよい学校づくりを進めていきたい」とする一方、教員免許の更新講習に当たって「教員が抜けると、現場に混乱も予想される。その間の適切な人的手当や予算の充実を」と要望した。