『毎日新聞』京都版2007年6月24日付

京都大:「重点事業アクションプラン」発表 25事業盛り込む


◇「黄檗プラザ」新設や「名勝清風荘庭園」整備−−学生、医療支援など5分野

京都大(左京区)は、06〜09年度に重点的に実施、または検討する「重点事業アクションプラン」を発表した。国立大学法人化(04年)に伴い、財務運営面で大学の裁量が拡大したことを受けた計画で、同様のプランの発表は初めて。宇治キャンパス(宇治市)に大学院生向けの研究・教育や国際会議、学会などを開催できる施設「京大黄檗プラザ」(仮称、約3800平方メートル)を新設する構想など計25事業を盛り込んだ。

財源は「重点戦略経費」毎年度約6億円と、04、05年度に確保した「目的積立金」54億円のうち36億円。プランは、▽教育推進▽研究推進▽学生支援▽医療支援▽広報・社会連携−−の5分野に分けた。尾池和夫学長は「法人化に伴い、取り組みを世間に明らかにする必要がある。財政状況は厳しいが、教育・研究や社会貢献に当たり、可能な限りのことを盛り込んだ」と話した。

講義室の机や椅子の切り替えなど、06年度に着手済みの事業もある。ほかには、▽中国など東アジアから優秀な人材を募るため海外事務所を設置▽若手研究者の研究準備資金として1人当たり約100万円を援助▽研究林の間伐材を利用し、学生が休み時間などに憩える椅子などを各所に設置▽「名勝清風荘庭園」(左京区田中関田町)の整備・有効活用を調査する委員会設置▽京都大と京都精華大(同区)の学生が協力し、京都大を紹介する漫画を出版−−など。

また着手時期は未定のまま、今後検討する事業として13件を挙げた。桂キャンパス(西京区)整備や外国人研究者の宿泊施設新設のほか、「吉田寮」(約3775平方メートル)や「室町寮」(約561平方メートル)など老朽化した学生寮の建て替えも対象に。吉田寮は定員147人でほぼ満室状態だが、学生らと協議中のため建て替えの詳細は未定という。【中野彩子】