時事通信配信記事 2007年6月20日付

●教育改革3法が成立=参院本会議


安倍内閣が今国会の最重要課題に位置付ける教育改革関連3法が、20日午後の参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。教員免許更新制の導入や教育委員会への国の関与の強化などを打ち出しており、全国約110万人の教員、学校現場に大きな影響を与えることになる。

3法は、教育職員免許、地方教育行政、学校教育の各改正法で、昨年12月に60年ぶりに改正された教育基本法に沿った抜本的な制度の見直しの一環。安倍晋三首相の強い意向を受け、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の異例の集中審議を経て、今国会に提出された。

いじめ自殺や高校必修科目履修漏れなど、教育にかかわる問題が相次いだことも踏まえ、教員の質向上、教育に対する国の責任の明確化などを目的としている。

改正教育職員免許法は、教員の免許状の有効期限を10年間と定めた。更新には30時間の講習を受講し、修了認定を受けなければならない。更新制は米国の州で採用されているが、主要国では全国一律に導入された例は無い。2009年度から開始の予定だ。

改正地方教育行政法は、緊急の場合に文科相が教委に改善を指示することができる権限を新たに規定した。いじめや履修漏れ問題で、教委の不手際が批判されたことなどを受けた措置だが、指示権の発動は「極めて限定的であるべきだ」(伊吹文明文科相)としている。

改正学校教育法は、幼稚園から大学までの各学校の(1)目的、目標(2)組織運営、指導体制−などの見直しが柱。改正教育基本法の内容に合わせ、義務教育の目標に「愛国心」「公共の精神」などを明記したほか、学校の体制強化の観点から、「副校長」「主幹教諭」など新たな職種の設置を可能にした。

時事通信配信記事 2007年6月20日付

●教育改革関連3法成立までの経緯

昨年
  9月 「教育再生」を掲げる安倍政権が発足
 10月 いじめ自殺問題が相次ぐ
  同  政府が教育再生会議を設置
  同  高校必修科目の履修漏れ問題が全国的に広がる
 12月 改正教育基本法が成立
今年
  1月 教育再生会議が第1次報告、首相が教育3法改正を指示
  2月 伊吹文明文部科学相が中央教育審議会に3法改正を諮問
  3月 中教審が3法改正案を答申
  同  3法改正案を閣議決定、国会に提出
  4月 衆院本会議で審議入り
  5月 衆院本会議で可決、参院本会議で審議入り
  6月 参院本会議で可決、成立