『琉球新報』2007年6月17日付

“修正”撤回を要求 教師ら教科書検定でシンポ


【うるま】「6・16教育の危機を考えるシンポジウム」(主催・同実行委員会)が16日、うるま市の市民芸術劇場で開かれた。シンポジウムには、教師や元教師らが参加。教育3法の改正に反対し、教科書検定での「集団自決」の「軍命」削除の撤回を求める決議を採択した。

シンポジウムで作家の目取真俊さんは、教科書検定での「軍命」削除について「沖縄では自主教材での授業ができても、県外では教科書に載っていないことを教師が教えると父母から抗議が来る。教科書に載っている意味は大きい」と指摘し、これまでも南京虐殺や従軍慰安婦の記述が削除された動きと連動していると位置付けた。

今年実施された全国学力テストと格差社会について報告したのは、琉球大学教授の佐久間正夫さん。佐久間さんは、小泉、安倍の両政権によって「義務教育を支える命綱の就学援助が縮小傾向にある。各自治体とも財政難との理由より政策によってもたらされた。学ぶどころではない子どもたちが増えている」と教育環境の悪化を指摘。一部自治体での学校選択制度の導入も含めて、子どもたちの学ぶ環境が2極化される現状から「学力テストは学力低下の問題解決につながらない」と指摘した。

中学校の教員を務める米須朝栄さんは、教育基本法の改正、学力テストの予備調査が行われた昨年末から学校の雰囲気が変わっていることを語り、教師に余裕がない中で管理が進む流れを危惧(きぐ)した。