『沖縄タイムス』2007年6月17日付

教育3法案・教科書検定/370人集いシンポ


「6・16教育の危機を考えるシンポジウム」が十六日、うるま市民芸術劇場で開かれた。琉球大学の佐久間正夫教授が「全国一斉学力テストと格差社会」、小説家の目取真俊さんが「高校教科書・沖縄戦歪曲の狙い」と題して発表。教員免許更新制などを盛り込んだ教育三法案改正への反対と、教科書検定で高校歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとの記述が削除されたことについて、検定意見の撤回を求める決議も採択された。

シンポは、退職教員らでつくる実行委員会(呼び掛け人代表・佐久川政一沖大名誉教授ら)が主催。教員ら約三百七十人が集まった。

目取真さんは、教科書検定で日本軍の関与が削除された背景には、「有事の際の国民の動員体制を確立するため、軍への否定感や疑問を抱かせる沖縄戦の記憶を暗殺したい政府の狙いがある」と指摘。「『軍命』がないことになってしまう前に危機感を持って、全国にこの問題を発しなければならない」と訴えた。

佐久間教授は、全国学力テストや就学援助の需給率、教育三法案などの課題を新聞記事を基に解説。「教育三法が成立してしまうと、教師たちは三法と全国学力テストの体制の下で、成果主義に駆り立てられるだけでなく、人事管理の厳格化などで身分を不安定にさせられる危険性が出てくる」と警鐘を鳴らした。

教職員代表として、中学校教諭の米須朝栄さんも登壇。「学校の方針に抵抗すれば『不適格教員』と言われるなど、多忙と管理強化で精神的に追い詰められている教員が多い」実情を吐露した。

軍関与削除 撤回を訴え/県子ども会育成連

教科書検定問題で、県子ども会育成連絡協議会(玉寄哲永会長)は十六日、那覇市内のパレットくもじ前で撤回を求めるチラシを配布した。「史実から目をそらしてはいけない」と急きょ活動を決定した。