『朝日新聞』2007年6月11日付

阪大と関大が学術交流協定 交流・単位互換など検討


大阪大(大阪府吹田市)と関西大(同)は11日、教育や研究での協力関係を深めるため、学術交流協定を結んだ。阪大は理系分野に強く、関大は文系学部が充実している。協定で補完し合うことで、互いの魅力を高めようという狙いだ。国立大学法人と私立大が同様の協定を結んだ例はほかにもあるが、学生数が計約5万人にもなる大規模校同士の協定はめずらしい。

阪大は学生数約2万人。医学部や工学部など理系分野での先進的な研究で知られる。文系分野の教員は2割しかおらず、今年10月に大阪外国語大との統合で外国語学部を新設するのを機に、人文科学系の教育・研究体制の強化を図ろうとしていた。

一方、学生数約3万人の関大は、阪大にない社会学部や商学部などの文系学部が充実している。ただ、阪大にある医学部と薬学部はなく、この4月に工学部を3学部に細かく再編するなど理系教育の拡充を進めている。

両大学の本部キャンパスはともに吹田市内で、学生の行き来はしやすい。また、阪大の次期総長就任が決まった鷲田清一・副学長がかつて関大文学部の教授を務め、関大の河田悌一学長が阪大大学院出身であるなど、人的なつながりも深い。

具体的な協力内容は今後詰める。阪大医学部の研究設備を関大の工学系学生が利用したり、関大での授業を阪大生が受講したりといった形での相互交流や、単位互換などを検討するという。大阪の歴史や文化などをテーマに、共同研究に取り組む計画もある。

協定締結後の記者会見で、阪大の宮原秀夫総長は「お互いにない部分を補い合って、学生が幅広く勉強できる環境を整えたい」、関大の河田学長は「様々な面で大きな相乗効果が生まれると思う」と話した。

大学間競争の激化などを背景に、国立大と私立大が協定を結ぶ動きはここ数年、地方を中心に出始めていた。最近では、06年1月に山梨大と山梨学院大が、同年6月に大分大と立命館アジア太平洋大が、単位互換などを内容とする協定を結んでいる。