『毎日新聞』三重版2007年6月13日付

岐路に立つ大学:産学連携を探り、研究開発相談キャラバン−−三重大、百五銀


◇利用企業増える

三重大学、百五銀行、百五経済研究所(いずれも津市)は12日、名張市夏見の百五銀行名張支店で、中小企業の研究開発を支援する「研究開発・技術相談キャラバン」を開いた。同社の顧客企業の中から事前に相談シートを提出した5社が参加。1社約30分〜1時間で、同大学の生物資源学部の教員とコーディネーターに技術研究や新製品開発に関して相談した。

3者は昨年3月、地域貢献のために産学連携の包括協定を締結した。キャラバンはその一環で、昨年秋に続いての実施となる。今回はほかに、6月5日に桑名、7日に松阪の各支店で相談会を開いた。研究への発展が見込めれば教員を紹介し、事業性が高い場合は特徴に応じて連携可能な企業も紹介する。

これまでに利用したのは計23社。大学教員が参加する形の共同研究に結びついた例はまだない。企業の課題解決をアドバイスする中で、研究との接点を探しているところだという。

百五銀行法人サービス部地域貢献課の中村浩久さんは「どうやって大学にアプローチしたらいいのか分からない顧客に対し、各支店で相談会を開くと、産学連携をより身近に活用してもらえる」と話す。

三重大社会連携チームの橋本城次・チームリーダーは「地域に出掛けていくことで大学をPRできる。企業が手掛けようとする研究開発は新しい複数の分野にまたがっていることが多い。大学がチームで取り組むことで対応できる」と話している。【高木香奈】