『日本経済新聞』2007年6月12日付

北陸の主要大学、アジアの大学と共同研究などで連携強化


北陸3県の主要大学がアジアの大学と研究や人材交流で連携を強めている。福井大学(福井市)は中国の大学内に今秋にも研究拠点を開設。北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)は同大と、交流するベトナムの大学双方の博士課程を一度に取得できる教育制度の導入を進めている。経済成長が著しいアジアでの産学連携に弾みをつけるのが狙いだ。

福井大学は10月をメドに留学の協定校で、杭州にある浙江理工大学内の一室を借りて研究拠点にする。福井大から年5―6人の研究者を派遣する。この拠点を活用し、現地の大学や企業、中国に進出している福井県内の企業と産学連携を進める。福井大の得意分野である繊維分野の技術を現地企業に売り込み、ロイヤルティー収入を得る。

日本化学繊維協会によると2006年の化学繊維の世界生産のうち中国は約51%と初めて5割を突破した。経済成長が進む一方で、環境への規制が強まっているため「染色など繊維を加工する際に出る廃液を減らす技術を中国で普及させたい」(堀照夫副学長)と話している。