http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/0604/item3.pdf

大学・大学院改革について
平成19年6月4日
伊藤隆敏
丹羽宇一郎
御手洗冨士夫
八代尚宏

教育再生会議第二次報告では、国立大学運営費交付金や競争的資金の改革など我々の提言が数多く盛り込まれており、高く評価したい。これを踏まえ、今後は次の検討が必要である。
1 上記提言の実施時期や数値目標を具体的に示す
2 上記提言の具体化を進める
3 教育再生会議(6月1日)における総理及び官房長官の指示を踏まえ、平成20年度予算編成における対応について具体的に検討する

経済財政諮問会議においても、教育再生会議等の関係会議と連携し、引き続き検討を行うこととしたい。

1.国立大学運営費交付金の配分ルールの見直し

競争力ある大学に変えるため、基盤的経費と競争的資金の適切な組合せとともに、運営費交付金を「一律配分から各大学の努力と成果を踏まえた配分へ」と見直し、併せてムダを省く必要がある

次期中期目標・計画(平成22年度〜)に向け、国立大学運営費交付金の新たな配分の在り方の具体的検討に着手し(教育再生会議二次報告)、年度内に見直しの方向性を明らかにすべきである。その際、以下の点が重要である。
1 国立大学運営費交付金の現在の配分ルールとその成果の検証
2 事務局・事務職員の改革・合理化
3 大学病院の改革
4 国立大学の大胆な再編統合等を促進する具体的方策

2.国立大学の入試実施日の分散化と複数合格の導入

大学入試に関する国立大学協会の自主規制を廃し、学生の選択による大学間競争が行われる環境を整備する必要がある

国立大学の入試日の分散・複数合格(教育再生会議二次報告)の具体的な姿を早急に検討すべきである。例えば、各国立大学において従来型入試は一回のまま、入試実施日を少なくとも5グループ程度に分散し、受験生が複数合格可能とすべきである。また、その際の歩留まりや定員割れを、運営費交付金の算定における評価の対象とすることも考えられる。

3.競争的研究資金の間接経費の充実

大学間の研究競争を促進するためには、競争的資金を獲得するほど大学財政を圧迫する現状を改め、間接経費を拡大する必要がある

競争的研究資金の間接経費の充実(教育再生会議二次報告)に関しては、すべての競争的研究資金について、3割を早期に実現する(イノベーション25報告)。また、将来的には米国並みの6割を目標とすることを検討する。大学間で競争的研究資金を獲得できる研究者の誘致競争が行われるように促すべきである。

なお、教育再生全体の財政基盤に関しては、教育再生会議の第二次答申に盛り込まれたように、「教育予算については、効率化を徹底させながら、メリハリを付けて教育再生に真に必要な教育予算について財源を確保する」という考え方に沿って、財政健全化と整合的なものとしていく必要がある。