『毎日新聞』宮城版2007年5月30日付

宮城教育大:「教職大学院」を設置、実務家養成へ 来春の開校目指す


◇定員32人、8割は現職教員から

宮城教育大は29日までに、学校運営や教科教育のリーダーを養成する教職大学院を設置することを決めた。文部科学省に来月中に申請し、08年4月開校を目指す。いじめや学級崩壊など教育現場が抱えるさまざまな課題に対応できる人材育成が目的で、32人の定員のうち8割以上の27人を現職教員とするのが大きな特徴。来春開設が実現すれば、同様に設置を目指す全国の他大学と並んで第1号となる。【山寺香】

同大の現在の計画では、来年度から大学院教育学研究科に修士課程とは別に「専門職学位課程・総合臨床教育専攻」を新設する。卒業すると「教職修士」の学位などが与えられる。院生となる現職教員は教育委員会や学校からの派遣教員と位置づけられ、既存の制度を利用し、2年間の在学中は給与支給を受けながら学ぶことができるという。

現職教員の選抜は、筆記試験の得点ではなく、総合的な適性を審査するAO(アドミッション・オフィス)入試とし、面接などで個人の資質を審査。研究課題や関心領域を絞り込む。1年目は現場の課題把握と実態分析などを行い、2年目は学校での実習を通して、新しい教科指導や生徒指導方法の開発などに当たる。

同大と県教委、仙台市教委は教職大学院に関する協議会を設置。実習を行う「連携協力校」の選定や、大学院修了後の人材活用方法について検討している。

院生を指導する教員は計15人で、4割に当たる6人を現職教員や家庭裁判所調査官、福祉専門家などの実務家などから採用する方針。文科省の認可が出れば、12月にも入試を行う。同大の高尾展明副学長は「学校現場の多種多様な課題に対応するため力量あるスクールリーダーを養成したい。東北各地から来てほしい」と話している。

県教職員課は「中核的な中堅教諭が増えることで、教職員全体の底上げとなるよう波及効果に期待している」としている。