教育関連3法案に反対し、廃案を要求する

 昨年12月、自民・公明の両党は、国民の多数の声を踏みにじ
り、憲法と両輪をなす法律である教育基本法の「改正」を強行した。政
府はこれを受け、学校教育法、教員免許法・教育公務員特例法、地方教
育行政法の、教育関連3法「改正」案を提出した。それらは、衆
議院では再び与党の暴挙によって強行採決され、参議院で審議されてい
る。
 私たちは、先の教育基本法「改正」の目的が、根本において教育の権
利の主体を国民から国家へと転換し、教育に国家による統制を持ち込む
ことにあることを指摘し、これまでの教育基本法こそ生かすべきものと
して「改正」に反対を表明してきた。
 今国会で審議されている教育関連3法「改正」案は、以下に指
摘するように、学校の内外で上意下達の体制を強化し、教育の国家統制
を進めるためのものである。
 学校教育法の「改正」案は、次のような問題を有する。・教育目標に
「我が国と郷土を愛する」「規範意識」「公共の精神」などの態度を養
うことを盛り込み、指導要領に法的位置づけを与え、徳目教育を強制す
る。・小・中・高校に幼稚園を加え、新たに管理職に副校長・主幹を置
き、さらに一般教諭を指導・助言する指導教諭を置くなど、学校全体を
上意下達の組織とする。・文部科学省の決める基準で学校評価を行い、
教育になじまない学校間競争をあおる。
 教員免許法および教育公務員特例法の「改正」は次のような問題を有
する。・10年間の期限付き免許状制度とし、30時間の講習
を受けなければ失効することとし、免職の圧力のもとで教員を官製講習
によって教員を再教育し、萎縮させる。・「不適切教員」の烙印で「研
修・免職」の道を開く。・分限免職処分者の免許取り消しで教育界から
排除するなど、「講習」を踏み絵とする。
 地方教育行政法「改正」案は、・文部科学省に教育委員会への「指
示」「是正」の権限を与え、・私立学校への教育委員会の関与の道を開
くなど、教育全体にわたって文部科学省…教育委員会…学校と一貫した
管理統制体制をはかるものである。
私たち日本科学者会議は、全国でシンポジウムや学習会等を開催
し、「改正」教育基本法の問題点を明らかにしてきた。その成果をふま
えて、本大会の名において憲法と教育の条理に反する教育関連3
法案の「改正」に反対し、廃案にすることを要求するものである。

2007年5月27日
日本科学者会議第38回定期大会