『西日本新聞』2007年5月23日付

地方の国立大 経済効果「大」 山口大667億円、九州新幹線の4倍 文科省初調査


文部科学省が地方国立大の地域経済への貢献度を測る初の調査を実施、九州・山口地区で対象に選んだ山口大(山口市)について、学生の消費活動や大学病院の運営などを通じ年間667億円の波及効果を持つと試算していることが分かった。大学改革論議で、成果主義などに基づく予算再配分が検討される中、地方大の存在感を訴える狙いがあるとみられる。調査結果をどう読み取るか、論議を呼びそうだ。

調査は財団法人・日本経済研究所に委託。全国87大学のうち山口、弘前(青森)、群馬、三重の国立大が県内産業に与える効果を調べた。

それによると、7学部で学生約1万700人(大学院を含む)、教職員同2100人を抱え、県内に3つのキャンパスを持つ山口大は「商業」で115億円、住宅賃貸など「不動産」で90億円、大学病院の医薬品購入など「化学製品」で67億円の生産誘発効果を持つなど、波及総額は667億円に達すると試算。九州新幹線部分開業1年目の鹿児島県内での波及効果166億円(鹿児島地域経済研究所調べ)を大幅に上回った、としている。

他の3大学の波及効果は、群馬大597億円、三重大428億円、弘前大406億円。国からの各大学への交付金は山口、群馬各約136億円、三重約121億円、弘前約112億円(2006年度予算ベース)で、波及効果が比例する傾向がみられた。

同省高等教育局は「地方国立大は教育活動や人材育成だけでなく、存在自体が地域経済に大きく貢献している」と分析。今後の教育改革論議の中で、時期を見て調査結果を公表する方針だ。