『R25』2007年5月18日付

大学でお世話になった助教授が4月から「准教授」になってた!


今年4月1日に学校教育法の一部が改正されたことにより、大学の「助教授」が廃止になったのをご存じだろうか? 代わりに置かれるのが「准教授」というポストで、これまで「助教授」だった教員たちは、今ではすっかり「准教授」になっているという。

この改正のおもな理由として、次の2つが挙げられる。1つは“名称の国際的通用性”。「助教授(assistant professor)」は、アメリカのシステムで「教授(professor)」、「准教授(associate professor)」の次に相当する職階であり、「准教授」がない日本での評価と誤解が生じやすかった。

もう1つは“助教授の職務規定”。助教授には「教授を助ける」という職務規定があったため、自身の研究よりもそちらを優先しなければならなかった。それが、改正後の准教授の職務規定によって、研究に従事することができるようになったのだ。

また、同改正で助手を「助教」と「助手」に分離し、「助教」は授業の担当が可能になった。しかし、教育コンサルタントの亀井信明さんは「現場は以前とあまり変わっていないのでは」と指摘する。

「今回の改正は、それほど大きな改革というわけではないんですよ。それよりも、今後の大学に対する“流動化への布石”と見た方がよいでしょう」(亀井さん)

大学は今や戦国時代。昨年は実に4割もの私立大学が定員割れを起こし、今年もその傾向はさらに悪化すると見られている。

大学経営の活性化を図るためには、なんらかの変化が求められているのは確かだが…それが、准教授の設置とどんな関係が?

「たとえばある大学では、准教授を任期制として定めました。いくら職務規定が変わったとはいえ、契約更新のためには研究ばかりしているわけにもいかない。大学にも教員にも、創意工夫を取り入れた“頑張り”が求められるようになるでしょう」(同)

硬直したシステムから、創意工夫の大学運営へ――。改正の底には、そんな競争原理が働いているのだ。(R25編集部)