『読売新聞』2007年5月18日付

教育予算、増やすか減らすか


教育改革関連3法案を可決した17日の衆院教育再生特別委員会では、安倍首相に対し、与野党双方から、来年度の教育予算拡充を求める声が相次いだ。

与野党から拡充要求「歳出改革」首相に難題

安倍内閣が最重要課題に位置づける「教育再生」と、小泉内閣当時、首相自身も推進していた「歳出改革」をどう両立させるか。政府・与党内には「教育予算を減らせば、教育再生の障害となり、参院選にも悪影響を及ぼしかねない」との声もあがっており、首相にとって難題となりそうだ。

「効率化を徹底し、メリハリをつけ、真に必要な教育予算は財源を確保したい」。特別委で、予算拡充を求める声に、首相は何度も繰り返した。教育予算の見直しで最大の焦点は、教職員の給与と定数だ。政府全体の歳出改革路線に沿う形で、昨年6月施行の行政改革推進法には、教職員給与の優遇を定めた人材確保法の廃止や、児童生徒の減少数を上回る教職員数の純減が盛り込まれた。

民主党は「民間企業が真っ先にするのは、経営陣の待遇見直しや遊休資産の売却だ。政府は本来、最後に回すべき人材投資の削減に手を着けた」(松本大輔氏)と痛烈に批判した。

与党側も「目に見える形で『予算を確保する』とのメッセージが必要だ」(自民党の河村建夫氏)など、首相に予算拡充を求めたが、首相は「学校の事務処理の外部委託やボランティア活用も考えたい」などと慎重姿勢を崩さなかった。

一方で、尾身財務相が「予算を増やせば、教育が必ずしも良くなるわけではない」とクギをさす場面も。首相は「優秀な教員を必要数確保するのは重要だ。一方で、行政改革推進も必要だ」と歯切れが悪かった。