『読売新聞』2007年5月12日付

大学授業 丸投げ禁止…文科省


文部科学省は11日、規制緩和に伴って大幅に緩やかになっていた法令「大学設置基準」を一部改正する方針を固めた。大学の自主性に委ねられている授業形態について、基本的なルールを明文化する。

来春から設置基準を厳格化

株式会社立の「LEC東京リーガルマインド大学」(東京・千代田区)が、予備校と混然一体となった授業を行っていたことが発覚したため、授業形態の多様化に一定の歯止めをかける必要があると判断した。2008年4月からの施行を目指す。

大学教育の多様化を進める目的から、大学設置基準は1991年以降の改正で、細かい規制が減らされ、最低限の条件が記されるだけになった。その結果、株式会社の大学設立や、英語の授業を英会話学校に委託するような「授業の外注化」も可能になった。

一方で、LEC大を巡っては、経営母体の株式会社が全国展開する資格試験対策予備校の学生と、LEC大の学生が、同じ教室で一緒に授業を受けている問題が表面化した。しかし、大学設置基準には授業形態に関する明確なルールが定められていないため、文科省はこうした授業を法令違反に問うことができず、最終的に、専任教員が授業を行っていなかった点などを法令違反と認定し、LEC大に改善勧告を行った経緯がある。

このため、今回の改正では、〈1〉授業科目の開設は(大学が)自ら行う〈2〉大学が専用の施設を有する――などと明記。大学が授業に必要な教員や施設を自前でそろえ、指導計画も大学の教員が定めることを改めて徹底する。

改正後は、LEC大のような授業形態のほか、授業を外注する際に大学が授業内容の決定にまったくかかわらない「丸投げ」も法令違反となる。また、アルバイトやボランティアを単位認定する場合、単に学生を企業に預けるだけのようなやり方も法令違反に問われる可能性がある。