『西日本新聞』2007年5月9日付

九州大吟醸、近大マグロ…大学発ブランド活発化 九大で初のシンポ 19日


九州大吟醸、近大マグロ、東大泡盛など、先端技術や研究を生かした“大学発”の商品づくりが活発化する中、福岡市の九州大箱崎キャンパスで19日、大学ブランドをテーマに商品や関係者が一堂に会する全国初のシンポジウムが開かれる。主催する九大関係者は「開発、販売ノウハウなどを共有しながら、環境保全に役立つブランド商品を大学から発信したい」と話している。

●環境保全などテーマ

今回参加するのは、売上高の一部を環境保全活動に充てる九州大日本酒「九州大吟醸」のほか、耕作放棄地を利用した九州大牛肉「Q‐BEEF」▽近畿大の完全養殖クロマグロ「近大マグロ」▽再生紙を利用した減農薬栽培米の新潟大日本酒「新雪物語」▽戦前の黒こうじ菌で造る東京大泡盛「御酒」▽学生が実習栽培したサツマイモの鳥取大焼酎「神在(かみあり)の里」の計六ブランド。

シンポでは、近畿大水産研究所の村田修教授が、世界で初めて成功したクロマグロの完全養殖について講演。東大ブランドの販売を手掛ける「UTプロダクツ」(東京)の福田浩幸社長がブランド戦略について語るほか、各大学が事例報告。パネル討論もある。

大学ブランドの商品開発は、国立大学の独立行政法人化をきっかけに取り組みが活発化。各大学とも研究成果を社会にアピールするよい機会としており、生き残りをかけた学校のイメージアップにつなげる狙いもある。

また経営の自立性を確保する財源の1つとしても期待。商品は卒業生などを中心に一定の需要があり、一般消費者にとっても大学の冠が付くことが安心感につながっている。生産が追いつかずに、売り切れるものも多い。

今回のシンポは、大学ブランドの中でも、海洋資源の保存や農地の有効利用など環境保全に貢献できるものを集めたのが特徴。シンポの総合プロデュースをする九州大大学院農学研究院の佐藤剛史助手は「安心、安全が魅力の大学ブランドに、今後は環境というテーマを加えていきたい」と話している。

シンポは、九州大箱崎キャンパス50周年記念講堂で午前10時から開催。参加無料。問い合わせは九大・佐藤助手=092(642)2961。