『北海道新聞』2007年5月7日付

財務など第三者評価 国立大も格付け 競争激化で取得広がる 北見工大は「AA」


財務状況などについて評価機関の格付けを取得する動きが、国立大学にも広がり始めている。道内でも、今年三月、北見工大が初めて取得した。格付け取得は、本州私大で先行していたが、国立大の法人化や大学間競争の激化で広がっており、室蘭工大も検討するという。

北見工大は日本格付研究所(JCR)の格付けで、二十段階中、上から三番目の「AA」となった。企業でいえば旭化成などと同格の評価で、「債務履行の確実性は非常に高い」とされた。JCRは「工業単科大学の中でも教員一人当たりの共同研究件数はトップクラス」「地域特性を適切に認識し、経営資源を最大限活用した研究などを行う個性豊かな大学法人」などとしている。

北見工大は取得の理由を「小さな地方大学は、学生募集力、外部資金獲得力の点で不利な条件にあり、格付け評価で高い評価が得られるかどうかは経営戦略にとって重要だ」説明する。

大学の格付け取得は、二○○三年の法政大が第一号。国立大では○六年の東大を皮切りに九州大、岡山大が取得。格付け機関によって多少のばらつきはあるが、東大、九大は最上級の「AAA」で、慶応や早稲田、同志社など有力私大が、それに次ぐ「AAプラス」。北見工大と同じ「AA」は上智大、日大など。

第三者から高い評価を受けると、経営に対する安心感が高まるほか、企業との産学連携や海外大学との共同研究を進める際にも信用を得やすくなるという。道内国立大では室蘭工大が「具体的な計画はないが、検討している」。道教大の担当者も「他大学の状況を見ながら、将来的な検討課題になる」とする。

一方、帯畜大は「取得したいが、全国で唯一の畜産系単科大で、客観評価が難しいと言われ断念した」といい、北大、小樽商大などは「予定はない」としている。