『京都新聞』2007年5月4日付

独立行政法人の早期導入見送り
京都市が検討結果まとめ


京都市は3日までに、市立芸術大や産業技術研究所などを対象にした地方独立行政法人制度の導入に関する検討結果をまとめた。いずれの事業も早期の制度導入は見送り、特に交通と水道は公営企業として存続する方向性を明確にした。

同制度は2004年4月に始まった。国立大学などで先行した独立行政法人化の地方版で、自治体直営の必要性が低い公共サービスを効率的に行うため、特定の事業を新たな法人で運営する。人事や財政で柔軟性が増すとされている。

検討結果のまとめで市は、大学の独立行政法人化は他の都道府県や政令市で導入例が多い中、市立芸大については、「導入の可否を検討する」とした。結論を出す時期は明記しなかったが、「市の文化芸術関連機関との連携の仕組みを検討する」として組織の在り方を見直す可能性を示した。

また、産業技術研究所と衛生公害研究所は「慎重に検討」、市立看護短大と病院事業は「中期的に検討」として、早期の導入を見送った。

一方、公営企業は現状の組織を維持するとした。市バスと地下鉄の交通事業は法人化の条件となる不良債務の短期間での解消が難しく、水道事業は下水道と組織が一体のため分離するメリットがないと分析した。

市総務局は「導入ありきではなく、各事業の課題を解決する視点で検討した。効率化だけなら、地方独立行政法人以外の制度も活用できる」と説明している。