『毎日新聞』2007年4月15日付

教育再生会議:大学の「ギャップイヤー制度」提言へ


政府の教育再生会議は14日、5月にまとめる教育改革に関する第2次報告で、大学に合格した学生が半年程度学校に通わず、ボランティアや就業体験活動をすることを認める「ギャップイヤー制度」の導入を盛り込む方針を固めた。再生会議は道徳の教科化など、規範意識の醸成に重きを置いており、同制度もその一環と言える。

また、安倍晋三首相が提唱している、大学の入学時期を9月にずらし、その間ボランティア活動を行う新たな制度の実現に向けた足がかりにする狙いもある。

入学を一定期間猶予するギャップイヤー制度は、英国などで実施している。高校を卒業後すぐに進学せず、1年以上ボランティアや就業体験を行える仕組み。英国では大学進学者の2割前後が中途退学しているが、ギャップイヤーを活用した学生は目的意識が明確になり「退学率は3〜4%」(内閣官房)という。

日本では名古屋商科大(愛知県日進市)が新入生に4〜7月の間、大学に通わず、欧州諸国でボランティア活動に携わることを認める類似の制度を取り入れている。

ギャップイヤー制度の導入は大学の裁量に委ねられるため、全体の制度変更とは異なる。首相が唱える9月入学には慎重論と積極論が交錯し実現へのハードルが高いが、再生会議の委員の一人は「ギャップイヤー制度を導入すれば9月入学の趣旨を反映できる」と話している。【平元英治】