『読売新聞』2007年4月14日付

国立大授業料、大学や学部で差…再生会議が提言素案


政府の教育再生会議(野依良治座長)の国立大学財政に関する提言素案が13日、判明した。

適切な競争原理と成果・実績主義の徹底を基本とし、予算配分に一段とメリハリをつけるのが柱だ。具体的には、現在は全国ほぼ一律の授業料・入学金について、理系を高くして文系を安くするなど、大学や学部別に差をつけることや、60歳以上の教員の給与を段階的に削減することなどを提案している。

素案は、第1分科会(学校再生)の白石真澄主査(関西大教授)と小野元之副主査(元文部科学次官)が作成し、13日の第3分科会で提示した。

素案は、教育財政の基本方針を「教育現場の効率化や、真に実効性ある分野に投資を行う『選択と集中』を考慮すべきだ」としたうえ、大学の統廃合を含め、徹底した合理化の必要性を強調している。

教育研究水準の高い大学や、設備に費用がかかる医薬学・理工系学部などの授業料・入学金については、他の大学・学部より高くするよう提案している。

2004年度の国立大学法人化により、大学側には、標準額より最大20%(当初は10%)授業料・入学金を高くするなどの裁量権がある。だが、06年度の場合、87大学のうち2大学が一部の学科で授業料を最大10%高くし、6大学が3%程度低くするのにとどまっている。

国立大の教員給与については、60歳以上は20%減、63歳以上は30%減など、年齢に応じて段階的に削減する案を示している。ただ、13日の会議では「年齢で一律に削減すべきではない」との異論が出たという。

素案はまた、成果・実績に応じた予算配分のため、〈1〉人材育成など教育面〈2〉イノベーションの創出など研究面〈3〉地域社会への貢献――などで、大学の成果を客観的に評価する仕組みを作る必要性を指摘している。