『朝日新聞』 2007年4月15日付

アジア留学生増へ戦略会議案 大学連携で単位取りやすく


政府のアジア・ゲートウェイ戦略会議(議長・安倍首相)が検討している外国人留学生の受け入れ拡大策がわかった。留学生が単位を取りやすいように日本とアジアの大学の連携を強化し、日本の大学に留学生受け入れを促す指標を導入する。日本への留学生数が頭打ちとなり、有能な人材が日本を素通りしかねないため、「質と量」の両面で向上を目指している。

83年に中曽根内閣が掲げた「留学生受け入れ10万人」の目標は03年に達成したが、その後は頭打ち。06年は9年ぶりに減少に転じ、受け入れ数は12万人弱だ。

世界全体では「00年に約180万人だった留学生数が25年に4倍程度まで増える」との予測もある。日本への留学生数の頭打ちが続けば、世界全体の数%に過ぎない日本の占有率がさらに下がる懸念がある。このため、「ポスト10万人」時代の留学生政策の再構築が求められていた。

検討案では、アジアの学生が自国の大学で2年程度学んだ後に、その大学と提携する日本の大学に留学し、あわせて5年程度で卒業できる「ツイニング方式」などの積極導入を提案。現状では、来日後に日本語学校などで学んでから大学に入学する留学生が多いが、この方式が広がれば留学の期間や費用を抑えられる。日本の大学を志望する留学生を支援する海外拠点の増設も提言する。

また、留学生の受け入れ態勢や研究活動での国際連携などの観点から大学経営を評価する「大学国際化指標」を策定し、大学に国際化に向けた自主的な取り組みを促す、としている。

今後、学識経験者や関係省庁の意見も聞き、さらに検討を進める。5月に策定するアジア・ゲートウェイ構想に盛り込み、政府が6月にまとめる「骨太の方針」に反映させる方針だ。