共同通信配信記事 2007年4月12日付

「常識疑う確かな力を」
東大入学式で小宮山学長


東大の入学式が12日午前、東京都千代田区の日本武道館で開かれた。小宮山宏学長は式辞で「目指すのは日本の知の頂点ではなく、世界の知の頂点」と述べた上で、新たな知識を獲得するために「常識を疑う確かな力を養ってほしい」と新入生に訴えた。

小宮山学長は、携帯電話などの影響で「顔を合わせて議論する力が落ちている」とも指摘。「議論することで初めて、自分の考えを相対化できる」と語った。

今年の新入生は3150人で、女性は585人。全盲ろうでバリアフリー研究に取り組む福島智准教授が祝辞を述べたほか、特別栄誉教授を務める建築家の安藤忠雄さんらが来賓で出席。新入生の門出を見守る父母らも多く参列した。

和歌山県出身で文科1類に入学した信濃一輝さん(18)は「あこがれていた東大生だが、実際になってみると意外と普通。将来は弁護士になりたい」と落ち着いた表情。東京都出身で理科2類の森田千恵さん(18)は「農学部で世界の食糧問題を学んで国連職員になりたい」と夢を語った。