『毎日新聞』2007年4月4日付

国立大:いよいよ広報に本腰 学外から担当者/代理店と提携/マスコット作成


 ◇「全入時代」到来で

国立の全87大学のうち8大学が学外から広報担当者を受け入れ、10大学が広告代理店などと業務提携をしていることが、文部科学省の初の調査で分かった。07年は大学・短大への全志願者数と全入学者数が同じになる「大学全入時代」といわれる。中には「マスコット」を作成する大学も現れ、国立大の広報合戦が過熱している。【高山純二】

文科省は06年3月以降、国立の87大学を対象に、広報活動の状況を聞いた。

外部から広報担当者を受け入れていたのは▽東京大▽東京外国語大▽東京海洋大▽静岡大▽神戸大▽熊本大▽北陸先端科学技術大学院大▽奈良先端科学技術大学院大の8大学で、広告代理店や私立大学、大手予備校などから招いた。

また、北海道大や東北大、一橋大など10大学は広告代理店や情報誌、新聞社などと業務提携。

大手広告代理店と提携した九州大は「大学のブランド戦略を検討するうえでのアドバイス、資料提供」を目的に挙げている。このほか▽岩手大▽静岡大▽兵庫教育大▽島根大は、大学独自のマスコットを作り、「がんちゃん」(岩手大)などの愛称をつけてPRしている。

河合塾と旺文社から計2人の広報担当者を招いた静岡大は「(04年の)国立大法人化と大学全入時代を前に、入試や広報でさまざまな取り組みが必要になったが、今までの教職員は何をすべきか具体的なイメージが描けなかった。入試改革もマスコット作成も、大学のイメージアップ戦略の一つ」と話した。

文科省は「これまで国立大は入学試験の広報が中心だった。しかし、法人化以後、私大と同様に大学全体の広報活動をするようになっている。イメージアップは、優秀な学生確保や産学官連携などの際のベースになる」と分析。文科省は各大学の参考となるよう、3月末に調査結果を各大学へ送付した。