『中日新聞』2007年3月22日付

全国学力テスト不参加を最終決議
犬山市教委(愛知)、全員一致で


小学6年生と中学3年生を対象に文部科学省が4月24日実施する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に全国の市町村で唯一、不参加を表明している愛知県の犬山市教育委員会(丹羽俊夫委員長)は22日午前、市図書館で臨時会を開き、5人の委員の全員一致で参加しないことを最終的に決議した。

昨年12月の市長選で「参加」を掲げて初当選し、オブザーバーとして出席した田中志典市長は冒頭、「参加したい、させたいという市民の声を尊重してほしい。保護者説明会は結論が出た後に開かれ、テストについても正しい説明がされていない」と、あらためて不参加の撤回を求め、瀬見井久教育長の姿勢を批判した。

これに対し瀬見井教育長は「本来の義務教育の在り方を追求した結果が(全国学力テストは)必要ないという結論だ。教委は独立性が保たれており、政治が手を突っ込むことはあってはならん」と述べ、「教育に市場競争原理を持ち込もうとするのが今回のテスト」との立場を崩さなかった。

他の委員も「豊かな人間関係をはぐくむ土壌を失う」「子どもの学力低下を知らしめるだけで意味がない」などと「不参加」の考えを示した。

この日の臨時会は田中市長の「正式に決議していない」との指摘で開かれた。市教委は「(不参加は)1月16日に県教委に報告済み」として、あらためて意思決定を文科省に報告することはないという。