『読売新聞』2007年3月24日付

「大学改革」目玉に…教育再生会議が予算配分など議論


政府の教育再生会議(野依良治座長)は5月にまとめる第2次報告に向け、大学・大学院改革の議論を進めている。

志願者数と入学者数が一致する「全入時代」を迎え、学力低下など大学が抱える様々な問題への処方せんを示し、第2次報告の目玉としたい考えだ。

3月13日の再生会議第3分科会で中嶋嶺雄副主査(国際教養大学長)は「経営の苦しい多くの私立大学が入学金や授業料で補おうとして、安易に定員を増やす悪循環に陥っている。中国から半ば労働力のように学生をかき集める大学もある。本当の教育の場ではない大学が多すぎる」と大学の実情を嘆いた。

他の委員からも、大学の地盤沈下や極端な学力低下など、現状を憂う声が相次いだ。

これまでの議論では、〈1〉大学卒業認定試験の導入〈2〉大学の予算配分の見直し〈3〉入試制度改革〈4〉9月入学の導入〈5〉教員養成のための「教育院」構想〈6〉大学院の競争力強化――などが主要テーマとなっている。

卒業認定試験は卒業時に分野別に試験を実施し、試験結果を基に大学が卒業を認定する仕組みが想定されている。大学によっては「入学さえすれば遊んでいても卒業できる」とも言われる現状を改め、教育の質を高める狙いがある。

大学の予算配分の見直しでは、経済財政諮問会議の民間議員が2月下旬、国立大学に競争的な予算配分の導入を求める考えを提言。現在は基本的に学校の規模に応じて配分されている予算を、研究成果などによって優劣をつけて配分させようというものだ。

文部科学省は大幅な見直しに反発を強めているが、再生会議からも「会議として意見を言うべきだ」との声が上がっている。

9月入学は、積極導入を訴える中嶋氏らに対し、「100%反対ではないが、戦略性と計画性がないとマイナスが大きい」(陰山英男氏)、「すべてを一律にやるのはやめた方がいい」(小宮山宏氏)などと委員の意見はまとまっていない。