『中日新聞』2007年3月23日付

産学協同でIT化
浜松商議所と静大が連携


若い視点で中小企業のIT(情報技術)化を−。浜松商工会議所は二十二日、静岡大情報学部の田中宏和教授(経営情報システム)の研究室と連携し、中小企業のIT経営支援に乗り出すと発表した。研究室が経営情報学を学んだ学生をインターンシップとして浜松地域の企業に派遣し、無料で情報システムを開発。大企業に比べ遅れているとされる社内IT化を産学連携で推進する。

中小企業は経営資源を振り向ける余裕がないため、情報システムが未整備のところが多い。田中教授はこれまで勤めた大学でも同様の事業を手掛けており、現場の実用に耐え得るシステムの開発につながったという。

具体的には、浜松商議所が仲介してスペースクリエイション、アート電子(いずれも浜松市)など五社に四年生を一人ずつ派遣する。学生は対象企業を経営分析し、課題をまとめた報告書を作成。経営者に示して内容を分析した上で、解決のための情報システムを開発する。

システム内容はマーケティング戦略、生産管理、顧客管理などを想定。学生は卒業研究の一環として学んだ知識を現場で生かすことができ、企業側は社内で必要なシステムを無料で利用できるメリットがある。

浜松信用金庫も経営分析の面から、中小企業診断士を派遣するなどして側面的に支援。事業は毎年継続する予定で、蓄積したシステムは静大が管理する。静大は今後の教材づくりに活用し、浜松商議所は必要とする中小企業に紹介するなどして地域活性化につなげる。