『京都新聞』2007年3月15日付

京大、産学連携組織を一元化
新年度に統括本部


京都大は14日までに、産学協同研究や知的財産の活用、大学発のベンチャー企業の育成を統括する全学組織「産学官連携本部」の計画をまとめた。組織の一元化によって、産学連携の強化と、海外企業との連携を進める。4月以降の早い時期の設立をめざしている。

京大は、産学官連携事業の推進に向けて、この10年、ベンチャービジネスラボラトリー(VBL)、国際融合創造センター、知的財産企画室、国際イノベーション機構(IIO)などの組織をつくってきた。しかし、組織の担当範囲が不明確な点もあり、全学的な戦略づくりや調整が難しかった。これらの組織を産学官連携本部に集約し、指揮系統を一元化する。

本部の下に産学官連携センター(仮称)を置き、生命科学、理工、ソフトウエア・コンテンツの3分野でキャンパス拠点を設け、産学協同研究や知財活用、ベンチャー育成などを進める。

医学研究科を中心に進めている医学分野の産学連携事業や、すでに始まっている医工連携の大型プロジェクトなど、部局の独自性を生かした取り組みは継続して進め、連携本部が部局間の調整を行う。

さらに、新たな研究資金の枠組みとして「ベンチャーファンド(仮称)」を設立し、学外からの資金提供を募る。文部科学省が新年度内の実施を検討している国際連携プロジェクトについても、連携本部が主導して京大の採択をめざす。

京大は4月、帝国ホテル(東京)にある東京事務所を、JR東京駅日本橋口のサピアタワーに移転するが、産学連携の拠点としても活用する。