『建通新聞』2007年3月15日付

【東京】東工大がキャンパス施設整備で基本計画


東京工業大学は「大岡山キャンパス」と「すずかけ台キャンパス」の今後の施設整備に関する将来計画を策定した。大岡山では2023年度までに、地域国際交流プラザ(仮称)やノンデジタルミュージアム、共同溝などの整備を進める。すずかけ台については30年度までを計画期間と設定、J3棟の建設やすずかけトンネルの整備などをに取り組む(将来計画の概要は3面に掲載)。

今回の将来計画は「世界最高の理工系総合大学」を実現するため、05年度の中期目標と中期計画が掲げる”キャンパス環境の充実”や”キャンパス環境の調和、個性化、長期的視点に立ったキャンパス計画の策定・推進”―との方針に基づき策定した。独立行政法人化を踏まえ、地域と連携して施設整備を進めることも狙いの一つ。費用は国の補助金に加え、外部資金(寄付金、PFI、ESCO、各団体拠出金)や自己資金(環境整備費など)などで確保する。

大岡山は「T期(06〜11年度)」「U期(12〜17年度)」「V期(18〜23年度)」、すずかけ台は「短期(06〜10年度)」「中期(11〜15年度)」「長期(16〜30年度)」のそれぞれ3期に分けて、期ごとに実施する施設整備の内容を提示。いずれも11年ごろに事後評価を行って、必要に応じて見直すことにしている。

大岡山の施設整備のうち、地域国際交流プラザ(仮称)はT期に位置付けた。整備場所は大岡山北地区東端の大岡山駅近傍で、地域や世界との交流と、情報発信などの機能を持たせる。東工大OB組織「蔵前工業会」が港区新橋の蔵前工業会館の売却で得た8億円と、東工大の自己資金8億円を合わせた16億円で事業を行う。

計画規模は鉄骨造地下1階地上4階建て延べ約3600平方b。蔵前工業会との合意や、基本構想の学内了承を月内に得て、既に選定済みの日建設計(千代田区)に設計を委託。今秋の着工、08年秋の完成を目指す。施設と大岡山南地区の本館前プロムナードを結ぶ橋梁も整備する。

ノンデジタルミュージアムの整備はU期に盛り込んだ。化学系研究実験施設(T期)や機械系実験施設(U期)を整備した上で、本館の実験機能を移転。本館施設の中庭を屋内空間にして、図書館と博物館を配置するリノベーションを行う。

建築関係ではこのほか▽既存建物の耐震改修(T期)▽学生会館・地下駐輪場(U期)▽実験廃液処理施設改築(U期)▽地域国際交流プラザ(仮称)アネックス(食堂・売店・生協などの移転配置、V期)―などを挙げる。

共同溝の整備については大岡山西地区をT期、同南地区と石川台地区をU期、緑が丘地区をV期で進める。屋内運動場整備(U期)や職員宿舎撤去・周辺環境整備(U期)などの基幹・環境整備も実施する。

一方、すずかけ台の施設整備では、J3棟の建設を短期に盛り込んだ。総合研究棟の位置付けで、20階建て延べ約1万1000平方bの規模を想定。J2棟の北側に配置する。

また、すずかけトンネルは、すずかけ台駅とキャンパスを結ぶもので、国道246号をアンダーパスする格好。現在、横浜市や国土交通省などとの勉強会を通じて検討している。中期で整備する計画だ。

短〜中期ではこのほか▽国道246号近傍の運動広場(短期)▽既存建物の耐震補強(短期)▽すずかけ広場と周辺の整備(中期)▽中水使用を考慮した排水処理施設とインフラ設備改善(中期)―の整備などがある。さらに長期では、サイエンスミュージアムや体育館、学生クラブ施設、建物館スカイウエイの整備などを構想している。

なお、東工大では現在、田町キャンパスの将来計画についても検討を進めている。