『東京新聞』2007年3月15日付

進む 自治体と大学連携
包括的相互協力 県と埼玉大協定


県と埼玉大は十四日、包括的な相互協力協定を締結した。これまで人材育成や地域振興など約七十分野で担当課と学部などが個別に協定を結んできたが、この日の協定で母体間の連携に発展。今後は個別に協定を結ばなくても覚書だけで事業を進めることができ、より幅広い協力関係を築くことができるという。県が包括的な協力協定を結ぶのは理化学研究所以来二例目で、大学相手は初。

県と埼玉大は二〇〇〇年以降、産学官の共同研究やインターンシップ事業などで連携。今後は、県国際交流協会と教育学部による外国籍児童の支援活動などの構想が上がっているという。

上田清司知事は「日ごろから各分野で築いてきた連携が、これからはさらに増進するでしょう」と展望を語り、埼玉大の田隅三生学長は「大学は研究が第一だが、地域貢献も非常に大事だ」と話した。 (池田悌一)

■久喜市と東京 理科大学部も

久喜市と東京理科大学経営学部(同市下清久)が十四日、連携に関する基本協定を締結した。具体的な連携策については今後、協議して決めていく。

協定は市と学部が包括的な連携の下、まちづくりや学術、産業などの分野で相互に連携し、地域の活性化と人材の育成に寄与することが目的。同学部では一九九三年の開校以来、市民大学教養講座が開かれたり、市の審議会などに教授らが参加するなどしていた。

田中暄二市長は「相互に新しい連携の可能性を探りながら協力を進めたい」、原田昇学部長は「これから第二ステップに市と理科大の関係が進むと位置付けている」とあいさつした。 (稲垣太郎)