『毎日新聞』岩手版2007年3月14日付

官学連携:遠野市と県立大、協定 公設助産院の人材養成など


遠野市と県立大は13日、地域課題の解決と実践教育推進のため双方が協力し合う包括的連携協定を結んだ。第1弾として市が不在の産婦人科医対策のため今秋の開設に向けて準備を進めている全国初の「公設公営助産院」計画で、同大看護学部からの助産師確保や人材養成面での支援が期待されている。

市内の「あえりあ遠野」での締結式で、本田敏秋市長と谷口誠学長が協定書に調印した。健康福祉やIT(情報技術)活用、町づくり、人づくりなどでの協力が盛り込まれた。

本田市長は「保健、医療などさまざまの課題に取り組んでいるが、こうした地域づくりに手を貸してほしい」と期待。谷口学長も「現場と結びついての実践教育があってこそ学問のレベルが向上する」と応えた。

公設公営方式による助産院は妊産婦の産前産後の健康相談や妊婦の定期検診などを24時間対応で行い、当面は出産は扱わない。4月にも設置場所を決め、嘱託医となってくれる市外の産科医か医療機関と契約を結ぶ。同市では02年4月から産婦人科医が不在となって出産できる医療機関がなくなったため妊産婦は盛岡市などに通院し、負担となっている。【鬼山親芳】