時事通信配信記事 2007年3月12日付

●教育制度改正に関する中教審答申の要旨


中央教育審議会が10日に答申した「教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正について」の要旨は次の通り。

【学校教育法】

1.義務教育の目標と年限

(1)改正教育基本法に教育の目標に関する規定が置かれたことを踏まえ、目標を次のように改める。▽自主、自律および協同の精神、規範意識、公正な判断力、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度▽我が国と郷土の現状と歴史についての正しい理解、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度、国際理解および国際協調の精神。

(2)年限は、現行制度通り9年と規定する。

2.副校長、主幹、指導教諭といった新しい職の設置

3.大学に在学する学生以外を対象とした新たな大学の履修証明制度の新設

【教育職員免許法】

1.教員免許状の有効期間と更新

(1)普通免許状と特別免許状に10年間の有効期間を定める。

(2)免許状更新講習を修了した者、または勤務実績その他を勘案し講習を受ける必要がないと認めた者について、免許状の有効期間を更新する。

2.指導が不適切な教員の人事管理の厳格化(教育公務員特例法改正)

(1)任命権者は、第三者からなる審査会の意見を聞いて「指導が不適切な教員」の認定を行う。

(2)任命権者は、指導が不適切と認定した教員に対し、研修を実施しなければならない。

【地方教育行政法】

1.教委の体制の充実

(1)市町村は、教委の共同設置、広域連合などにより、広域で教育行政事務を処理する体制の整備・確立に努める。

(2)文科相・教委は、教育委員に対する研修の実施に努める。

2.教育における地方分権の推進

(1)教育委員の数は、5人を原則とし、都道府県・市の教委は6人以上、町村の教委は3人以上とすることができる。

(2)教委の所掌事務のうち、文化、スポーツに関する事務は、首長が担当できる。

3.教育における国の責任の果たし方

国の法律上の責任を果たすことができるよう、以下を踏まえ、適切な仕組みを構築していく。▽児童生徒の生命や身体の保護のため緊急の必要があるなど極めて限定した場合、国が適切に対応できるよう、地方公共団体に対し何らかの措置(指示等)を行えるようにする必要があるとする意見が多数出された▽これに対し、地方分権の流れに逆行するとの意見など強い反対意見も出された。

4.私立学校に関する地方教育行政

私立学校でも法定された最低限の基準を担保するため、以下を踏まえ、適切な措置を講ずる。▽必要に応じ、都道府県知事が教委に対し、助言、援助を求め得るようにすべきだとの意見が出された▽当審議会としては教委が指導を行うことを可能とすることは採らないことが適当と考える。