時事通信配信記事 2007年3月10日付

●国の教委関与を強化=教育3法で中教審答申


中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は10日の総会で、教育関連3法改正に関する答申を決定、伊吹文明文科相に提出する。総会に先立つ分科会に示された答申案では、焦点の教育委員会制度改革を柱とする地方教育行政法をめぐり、「国の法律上の責任を果たすことができるよう、適切な仕組みを構築」するとし、国の関与強化を打ち出した。ただ、教委に対する文科相の是正指示権の新設といった関与の具体的な内容については、「何らかの措置(指示等)を行えるようにする必要があるとする意見が多数出された」との記述にとどめた。「地方分権に逆行する」などの反対意見が出された点も付記した。

答申を受け文科相は12日、安倍晋三首相に内容を報告し、首相の判断を踏まえた上で3法改正案を今月中に国会提出する方針だ。

答申案は、教育に関する事務に法令違反がある場合の国の対応として、現行の地方自治法が規定する是正要求で対応するのが「当然」と指摘。是正指示などが行えるのは、(1)児童生徒の生命や身体の保護のため緊急の必要がある(2)憲法に規定された教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たされていない−場合とした。

このほか、答申案は文科省が骨子案で示した「都道府県教育長の任命への文科相の関与」を明確に否定。私立学校に対する教委の指導・助言・援助に関しても「指導は採らないことが適当」とする一方で、「必要に応じ、知事が教委に対し、助言、援助を求めるようにすべきだとの意見が出された」とも記した上で「今後さらに検討を行っていくことが必要」と付記した。答申案は地教行法のほか、10年ごとの教員免許更新制を導入する教育職員免許法、学校の組織運営体制強化のため「主幹」などの新設を打ち出す学校教育法の改正についても盛り込んでいる。