『毎日新聞』2007年3月7日付

東北大医学部寄付金問題:返還の請求棄却 国への寄付に当たらぬ−−地裁 /山形


東北大学医学部の関連財団「艮陵(ごんりょう)医学振興会」へ米沢市が寄付金120万円を支出したのは違法として、市民オンブズマン県会議の高橋敬一前代表が、同大に寄付金を返還させるよう、安部三十郎市長に求めた住民訴訟の判決が6日、山形地裁であり、片瀬敏寿裁判長は原告の訴えを棄却した。同様の訴訟で昨年、仙台地裁は宮城県石巻市、塩釜市に対し返還請求命令を出しており、判決が分かれる形となった。

寄付行為が自治体から国への寄付を禁じる地方財政再建促進特別措置法に抵触するかが争点となった。原告側は「財団をトンネルに使い、実質的には大学への寄付」と主張し、市側は「財団への寄付」と反論していた。

判決で片瀬裁判長は「財団は医学振興に必要な教育研究の援助を目的として設立され、トンネル機関と解することはできない」と指摘。「財団は市から寄付された金を大学医局が管理する口座に振り込んだ。医局は医師の任意集団で大学と同一視出来ない」と、国への寄付には当たらないとの判断を示した。

原告側弁護士は「実体を見ない形式だけの判決」として控訴する方針。また、米沢市、東北大は「当方の主張が認められたと理解している」とコメントした。【大久保渉】