時事通信配信記事 2007年3月6日付

教員人事権の全面移譲、引き続き検討=中教審


中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は、今国会に提出する教育関連3法の改正案について分科会での実質審議を終え、答申取りまとめに向けた最終調整に入った。答申では、教育委員会制度改革の焦点の一つだった教職員人事権に関し、「全面的に市区町村に移譲することについては、費用負担のあり方を含め、今後引き続き検討」との文言を、法律事項とは別の「留意事項」に盛り込む方向だ。

現行では都道府県にある教職員の人事権の市町村への移譲に対しては、都道府県、中核市、小規模市町村などの間で賛否が分かれている。分科会で文科省が示した骨子案では、「分限・懲戒や市町村内における転任など、一定の人事に関する権限を市町村教委に移譲」するとされ、「採用と免職が違う主体によって行われる」ことなどに対し異論が出た。

また、「一定の人事に関する権限」を具体的に、どのように運用するかなども、分科会の議論の中では明らかにされていない。今後の検討課題に残されている形だ。

分科会では、国の教委への関与強化の在り方が最大の争点となり、地方六団体の反発などを背景に議論の大半を占めた。

結果として、(1)都道府県教委の教育長任命に文科相が関与する案は、自治体関係者以外からも反対の意見が多く法案には盛り込まない(2)教委に対する文科相の是正勧告・指示権は、第三者の意見を反映させるなど発動要件を明確にした上で法案に盛り込む―方向がおおむね固まっている。いずれも、賛否両論があったことや、賛否の内容について答申に併記される見通しだ。

そのほか、教員免許更新制の導入に当たって、運用面で(1)更新講習の修了認定基準(2)講習中の教員の代替要員確保策―を明確化するよう求める意見が多く出た。答申では、こうした運用面で検討が必要な事項に加え、教員の養成、採用、研修、評価などの施策の一体的な推進を検討する方針も打ち出す。(了)