『読売新聞』2007年3月4日付

文科相、教委に是正勧告 緊急事態に限定


政府が今国会に提出する教育改革関連3法案(学校教育法改正案、教員免許法改正案、地方教育行政法改正案)の概要が固まった。

3日開かれた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の合同分科会で、意見が分かれていた教育委員会改革について、文部科学相の権限強化という方向性が示されたためだ。いじめによる自殺で教委が対応を怠るなどの緊急事態に限り、文科相による是正勧告や指示を容認する内容を答申に盛り込む。

文科相が都道府県教育長の任命に関与することや、教委が私立学校に「指導」することには反対意見が多く、認めない方針だ。中教審は10日に総会を開き、伊吹文科相に答申する予定だ。

会議では、石井正弘岡山県知事らが、地方自治法が「公益を害している」場合、各大臣が都道府県に是正要求が出来ると規定していることを指摘し、「現行法で十分だ」と文科相の権限強化に反対した。文科省は「現行法では、具体的な是正内容は自治体の判断に任される。確実な是正を担保するには『勧告・指示』が効果的だ」と主張した。

出席者からは、〈1〉手続きの透明性を確保する〈2〉第三者機関を設置し、文科相の指示について意見を聞く――などの条件を付けた上で、是正勧告・指示を容認する意見が複数出された。地方団体らの反対意見を答申に付記する可能性が高い。

学校教育法改正案は学校運営の体制強化のため、小中高校などで副校長・主幹・指導教諭を設置できるよう規定する。教員免許法改正案では、教員免許に更新制を導入し、10年ごとに30時間の講習を義務づける。