『徳島新聞』2007年2月28日付

鳴門教育大・四国大、3月1日に包括協定締結 地域貢献へ連携


鳴門教育大学と四国大学は三月一日、二〇〇七年度から地域貢献分野の研究、教育を共同で行うための包括協定を結ぶ。初年度は四国遍路に関する文化財の掘り起こしや小学校の英語指導教師に対する教育方法の開発などに取り組み、将来は対象分野を拡大させる。講座によっては、学生が取得する単位の互換を認めることも検討している。

四国遍路は、本県など四国四県が「四国八十八カ所霊場と遍路道」として世界文化遺産登録に向けた動きを進めており、関心が高まっている。しかし、文化庁が一月末、関係史跡の指定数が少ないことなどを理由に国内候補地リスト入りを見送ったため、県総合政策局は「研究が十分なされていない」と受け止めている。

このため、両大学は包括協定発効後、鳴教大が大学院生を対象に開いている歩き遍路の集中講義に四国大の学生も参加できるようにする。四国遍路にまつわる文化財の掘り起こしで県に協力する一方、学生には歩き遍路を通じ、遍路文化の背景にあるいたわりの心を学んでもらう。

小学生の英語教育は現在、中央教育審議会が導入を検討しているが、指導教師の英語力のばらつきが指摘されているため、両大学は指導教師に対する教育方法の開発などでも連携。小学校教師の配属や採用に役立てられるように、教師や教師を志望する学生の英語力をレベル分けする基準を作り、研修や教育のカリキュラムも作る。

両大学は四国遍路に関する講義で単位互換を目指し、来年度以降、単位互換の対象を増やす見込み。

包括協定は、変更を申し出ない限り無期限としている。四国遍路に関する取り組みは、文部科学省が優れた教育改革に予算を重点配分する「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」への共同申請を目指す。

鳴教大の高橋啓学長は「地域貢献に向けて一大学でできることには限界がある場合もあった。同じ志の大学との連携で持てる力を何倍にもして発揮したい」。四国大の福岡登学長は「四国遍路などを取っ掛かりにして、地域産業や文化の振興に役立ちたい」と話している。