『沖縄タイムス』2007年2月21日付

<人物>
琉球大学第十五代学長に選ばれた岩政輝男さん
生き残りでなく発展を


琉球大学で初の県外出身学長となるが、「それは意識していない」とさらり。「他大学と同じように学生も教職員も、いろんな地方の出身者がいる。ほかの人も意識していないと思う」 三年前の国立大学法人化や少子化による全国的な学生減少で、それぞれの大学が「生き残り」をかける時代。「琉大には他県の大学と違った歴史と、亜熱帯で自然環境に恵まれている地域性があり、特色を出しやすい。生き残りではなく、もっと発展していく」。

「21世紀COEプログラム」に代表される世界レベルの特色ある「看板研究」と、地道な基盤的研究を「両輪」にたとえ、ともに強化していく方針だ。

二年前から財務・施設・医療担当の理事を務めた実績があり、「新しい学問、社会の動向に対応し、組織改革を進める。魅力ある大学をつくれば学生は集まってくる」と大学運営に自信をのぞかせる。

課題に挙げるのは、卒業生の質の確保。ドイツなどのEU諸国で、外国からの人材流入により学生の就職難が深刻化している例を挙げ、琉大出身者のレベルの保証が重要、と強調する。

医学部出身としても初の学長職。理事として黒字化を達成した附属病院の経営については「営利目的でなく、県民が本土に行かなくてもいい医療が受けられるよう人員と診療機器の確保をさらに進めていきたい」と意欲的だ。

休日は読書や自宅周辺を十キロほど散歩するなどして過ごす。二男一女は独立し、妻と二人暮らし。二十五日に六十五歳の誕生日を迎える。(田嶋正雄)