『毎日新聞』三重版2007年2月23日付

県:三重大医学部に地域医療学講座を設置 年4000万円寄付、来月1日から


県は22日開かれた県議会の一般質問で、へき地の医師不足対策の一環として、三重大学医学部に県の寄付金で3月1日から地域医療学講座を設けることを明らかにした。要綱や要領に基づき設置されている各種懇談会などについて、設置根拠や存続の必要性を検証する考えも示した。

講座は教授と助教授、助手の3人で構成、教授は県外の医療機関から招く。助教授と助手は、三重大学医学部から県内の病院に派遣している医師が就任する予定で、紀南病院(御浜町)と尾鷲市立尾鷲総合病院に常勤する。

講座では両病院で診察を行うほか、病院と診療所の救急分担、病院同士や、病院と福祉施設との連携など地域医療のあり方について研究し、医師確保対策やよりよい病院づくりに役立てる。設置に伴い、県は06〜08年度の3年間、毎年各4000万円を同大学に寄付する。現在、三重大学医学部で人選などを進めており、4月から本格的に研究を始める。野呂昭彦知事は答弁で「県の寄付行為に必要な総務大臣の同意を昨年末に得て3年間の設置が決定した。研究目的が達成されるよう今後も積極的に協力していく」と述べた。

また、県は現在、国土利用計画審議会など法律や条例に基づく90の付属機関と、県政懇話会など要綱・要領に基づく110の懇談会や懇話会を設置している。

うち懇談会などは、主に県の施策に対する県民の意見、提言などを聴くために設けられており、06年度は委員の報償費など約3400万円を支出する見込み。しかし、他県では、懇話会の内容が付属機関と判断され、条例化されていないため住民訴訟で敗訴した例もあるという。

このため、中尾睦総務部長は、各種懇談会などについて「設置目的の類似性、社会経済情勢の変化による存続の必要性などを検証し、整理・廃止・統合を行う必要がある。設置根拠も改めて検証し、法律上の疑義が生じることがないよう、条例化の検討を含めて必要な対応をしたい」と答弁した。【田中功一】