『朝日新聞』2007年2月20日付

尾身財務相、予算要求を指南か 沖縄大学院大構想


沖縄担当相だった01年に沖縄科学技術大学院大学構想を提唱した尾身財務相が、この大学を建設・運営する独立行政法人側に「強い予算要求があれば、大きな予算が確保される可能性が高い」と伝えていたとする内閣府の資料が19日公表された。伝えた時期は不明だが、昨年9月下旬の財務相就任の後であれば、予算の編成・査定の責任者が個別の案件に関し、自ら提唱した事業を進める側に要求を「指南」したことになる。尾身財務相はこうした内容を否定している。

19日の衆院予算委員会で馬淵澄夫氏(民主)の求めで、内閣府が昨年10月24日夜に開かれた独立行政法人・沖縄科学技術研究基盤整備機構の運営委員会(BOG)による電話会議の概要をまとめた資料を公表した。

それによると、ある委員が尾身財務相からの情報だとして「来年度予算の確保に向けて、BOGからの強い要求があればより大きな予算が確保される可能性が高い。特に円滑な施設整備に向けて、施設予算についてはプライオリティー(優先順位)が高い」と紹介している。

この大学関連の07年度の当初予算案は87.3億円と前年度より10.3億円増えた。うち建設に充てられる大学施設整備費は44.2億円と同8.9億円増加している。

尾身氏は19日の衆院予算委で「財務相就任以来、予算要求の具体的内容などについて、BOGのメンバーにアドバイスなどをしたことは一切ない」と関与を否定した。

運営委員会は、国内外のノーベル賞受賞の科学者などで構成され、機構の運営を監視する一方、業務についても意見を言う。機構は内閣府所管で、会議に内閣府の職員が出席することもあるという。内閣府によると、この電話会議には職員が出ておらず、出席者から聞き取った内容を資料にまとめたという。

高市沖縄担当相は19日、「内閣府の職員が参加委員から聞き出したもので、内容が正しい、正しくないとも言えない」と語った。